ギターを買うときに知っておきたいこと

少し上達すると入門ギターに飽きてもっと良いギターが欲しくなります。経済的に余裕があり、高いギターを購入出来る方は入門時から高額なギターを購入しても一向に構いません。高いギターに良いものが多いのも事実ですから。でも楽器屋さんに行って買うときに、ギター選びに自信がないと全然鳴らない売れ残りを選んでしまう(選ばされてしまう)可能性もあります。 
 そこで、良いギターはどこが違うのか?入門者はどんな(いくらくらいの)ギターを買えばいいのか?そのあたりを解説したいと思います。

なぜ、良いギターは高いのか?

ギターの値段はピンきりです。安いものは1万円以下から高いものは数百万円というものまであります。
それでは、「これからギターを始めてみたい!」という人は、どのギターを買えばよいのでしょう?

まず、ギターの価格がどのような内容で左右されるか下に示します。

各メーカー(ブランド)で入門者用としてラインナップされているギターの相場は、だいたい3万〜6万程度に設定されているようです。この3万円〜6万円の価格差は、上のスペックによるものです。ちなみにアコギの王道MartinのD-28は新品で約30万円、ビンテージのD-28になると約80万円です。また、ハンドメイドの国産ギターだとだいたい30万円〜60万円 で、ブランドやハンドメイドによっても一桁違ってきます。

〜木材の材質によっての値段の違い〜

アコースティックギターは主にボディのトップ材、サイド・バック材、ネック、指板とブリッジで構成されています。使用される材料による価格差は木材の希少性にあり、高価な木材だから良い音、好きな音とは限りません・・・。
また、現在入手しやすい木材でも今後の伐採状況により、価格が上がるものも出てくると思われます。

トップ

このうちボディのトップ(表板)に使用される木材には、主にスプルースとシダーというものがあります。これは、これらの木材が弦の振動によって共鳴しやすい特質をもっていますので、ほとんどのアコギがこの2種類の木材を使用しているといっても過言ではありません。スプルースは現在のトップ材のメインの材種ですが、スプルースにもいくつか種類があります。

  • 〜トップ 価格順位〜
  • 1.アディロンダック・スプルース
  • 2.ジャーマン・スプルース
  • 3.イタリアン・アルパイン・スプルース
  • 4.イングルマン・スプルース
  • 5.シトカ・スプルース

それぞれ音質特性がありますが、メーカーのカタログなどでスプルースとだけ記載されている場合は、ほとんどがシトカ・スプルースです。シトカスプルースが現在一番入手しやすい材料ですので、この材種の中では一番安価という事になります

サイド&バック

ボディのサイドとバックに使用される木材は多岐にわたり、一部のメーカーには木材を使用しないものさえあります。また、トップ板のスプルースの音質特性と相まって、そのギターのキャラクターを左右するものでもあります。
その中でも一般的に使用されている木材の種類をあげます。

  • 〜サイド&バック 価格順位〜
  • 1.ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)
  • 2.ハワイアン・コア
  • 3.インディアン・ローズウッド
  • 4.マダガスカル・ローズウッド
  • 5.メイプル
  • 6.マホガニー
  • 7.サペリ

これらもまた音質特性が異なりますが、現在ローズウッドはCITES(ワシントン条約)により輸出入規制の対象となっています。特にブラジリアンローズウッドは、附属書1に該当しており、輸入に関してはほぼできません。乱伐の為の保護政策なんですね。そのため、ローズウッドが使用されたギターはどんどん希少になり、価格も高いものとなります。

指板・ブリッジ

指板は、指や弦が擦れるため摩擦に強い材料が選ばれます。また、ブリッジも弦と接触する為に強度のある木材が選ばれます。このため硬い木材であるエボニーとローズウッドが使われていることがほとんどです。また、ローズウッドといっても上記のサイド&バックの様にさまざまな種類がありますのでそれによっても価格が多少異なります。

  • 1.エボニー
  • 2.ローズウッド

ネック

マホガニーが使われることが多いです。したがって、ネックの木材によって価格差が生じることはあまりありません。

ブレージング

トップ板の強度のために使用されますが、木材の種類によって価格差が生じることはありません。

単板か合板か

ボディを構成する木材が単板か合板かによっても値段が異なります。
メーカーカタログのスペック表を見ると、
"TOP:Solid Sitka Spruce"
など記載されていますが、この「Solid」は単板つまり一枚板を使用しているという事を表しています。単板は、弦の振動をその木材が持っている特性により柔軟にそしてダイレクトに音として伝えることができるので、木材のキャラクターを活かし、響きが良くなります。その反面、割れたりねじれたりしやすく強度という点では合板より劣る為、調整や取り扱いに注意が必要となります。また、一本の木から良質なギターサイズの板が取り難くなっているため高価となります。
合板は安価に大量生産できることと、木材を接着剤で重ねて貼り合わせているため(木目を公差させて張り合わせる等)木材の強度や特性をコントロールできるメリットがあります。ただし、強度を上げるという事は、振動することと相反することですので、あまり響かないギターという事になります。低〜中価格帯のギターのほとんどが合板を使用しています。
トップ材に単板のスプルースを使用して、サイド・バックが合板という仕様が大手メーカーで一番多いラインナップかもしれませんね。

〜使用されるパーツによる値段の違い〜

アコースティックギターに使用されるパーツは、エレキギターほど種類はありませんが、その一つがペグです。ペグは音質には直接は関係しません(するという人もいます)が、チューニングの安定性という点では重要なパーツです。プロの中には、ギターを購入すると自分の使い慣れたペグに交換する人もいます。
もちろん無名メーカーのペグより、海外から輸入された有名メーカのものが高価になります。
ペグのメーカーとしては、下記のようなブランドがあります。

  • 1.シャーラーSCHALLER(海外)
  • 2.グローバーGROVER(海外)
  • 3.クルーソンKLUSON(海外)
  • 4.スパーゼルSPERZEL(海外)
  • 5.ゴトーGOTOH(日本)

また、ペグと一言で言っても、自動でチューニングしてしまうような高機能なものからオープンバックのような昔ながらのものまで様々です。当然多機能なペグの方が高価になります。
また、ナット、サドルについては、音質に影響することもあり重要なパーツとして比較的高級なものを使用するブランドも多いですが、樹脂、牛骨、象牙などが使用されます。このうち象牙はワシントン条約で輸出入が禁止されています。希少価値の高いものほど高価になります。

〜塗装による値段の違い〜

アコースティックギターの塗装にはいくつか種類がありますが、代表的なのはウレタン塗装とラッカー塗装です。
ウレタン塗装はラッカー塗装に比べ塗膜が厚い分、経年劣化という点ではすぐれています。ただし、塗膜が厚いという事は、木材の振動による響きという点ではデメリットになります。一方でラッカー塗装は、塗膜が薄い分経年劣化がしやすく、また薄膜の塗装は技術が必要になる為、高価となります。経年劣化については、使い込むといい感じになるという事ですので、一つの味と考えれば、あまり強くなくて、木の本来の響きを阻害しない程度の塗装が良いという事になります。したがって、高級なギターほど、うすい塗装が施されている傾向があります。 

〜装飾による値段の違い〜

アコースティックギターには、さまざまな装飾がされます。その代表的なものが以下になります。

  • ・バインディング・・・ギターのボディの周り、ネックの側面
  • ・ロゼッタ・・・サウンドホールの外周
  • ・フレット・・・ポジションマーク
  • ・ヘッド・・・インレイ(ブランド名やロゴマーク等)
  • ・ピックガード・・・べっこうなど

これらには、高級な木材が使用されたり、螺鈿細工(インレイ)が施されたりします。装飾に手が込んでいて、豪華になると高価になります。インレイに使用されるアバロン貝やピックガードに使用される鼈甲は、輸出入禁止ですので、今はほとんどがその代替え材料を使用してします。

〜ハンドメイドか量産かによる値段の違い〜

現在日本でのアコースティックギターの国内販売数は、年間で約15万本です。ギターは多くの楽器の中でも始めやすい楽器のうちの一つでもありますから、国内および海外の多くのメーカーがこの需要に応えるべくたくさんの台数を生産します。そして量産メーカーでは、たくさんの台数を作るなかで、ギター個々のばらつきを少なくするために、本来はみんな微妙に異なる木材を、主に外見で選別し等級分けします。同じグレードの材にそろえ、乾燥や加工工程をそろえ、ばらつきの幅を狭くするのです。
また、生産台数が多いということは、色々な気候・風土の土地に運ばれ、色々なユーザーに使われることが前提となりますので、板の厚さや作り込み、フィニッシュは、よりしっかりとしたタフなものでなければなりません。これは音質とは相反することですが、そのような考えのもとで生産されるのが量産品ですし、また自動化し大量に作ることで企業としてのスケールメリットを出し、さらに人件費の安い東南アジア諸国に生産拠点を持つことで、安価に製品を提供できることになります。
もう一つ、入門用に大量生産された安いギターは、多くの場合が調整不十分で、弾きにくく音もいまいちなものが多いので、調整に慣れていない入門者にとっては入門用といっても扱い難いものとなっていることが多いのです。これでは、練習してもなかなか上達しませんし、続けること自体も嫌になってしまうかもしれません。
一方「一品生産」のハンドメイドは手間暇がかかる為、それにかかる時間と人件費のコストがかかることになり高額なものとなります。高価な価格に見合う、高い品質をもてなければ、ギター市場の価格競争でメーカーの大量生産品に敵うわけがありませんが・・・
それゆえ手作業で製品を仕上げることで、選別した木材の音響的な特性に合わせた微調整を慎重に行い、価格に見合った価値の品質を最大限引き出そうとします。特にベトナムは古くから家具などの木工製品が盛んな国であり、現在、世界6位、アジア2位、東南アジア1位の木材・木製品輸出国となっていますので、その木工技術には目を見張るものがあります。ベトナム旅行をしてみれば、細かく彫刻されている家具をたくさん見る機会があるでしょう。これら木材の加工に手慣れた職人たちが、一点一点製品を仕上げていくのです。ベトナムの物価や人件費は日本より安価ですので、欧米の一流メーカーより、また日本の一流メーカーや個人作家のギターに比べて、品質の良いハンドメイドでも安く製品を提供することができるのです。言い換えれば、ベトナムの物価や人件費が上昇すれば、またギターの値段も高くなるという事になりますので、自動化による大量生産の流れは避けられなくなってくると思われます。良い製品を安く手に入れるのは今しかないのかもしれません。

〜ネックジョイントについて〜

ネックジョイントとは、その名の通りネックとボディとを接合させることで、アコースティックギターの主な接合方法は従来ダブテイルジョイントと呼ばれる方法で接合されています。ボディ側が凹、ネック側が凸の形になっており、鳩の尻尾の形のように上部の幅が狭く、下部の幅が広いために、凹と凸を組み合わせると動かない仕組みになっています。
もう一つのジョイント方法としては、ボルトオンというものがあります。これは比較的新しいネックジョイント方法で、ダブテイルと同じようにボディ側とネック側の凹凸を組み合わせます。ダブテイルと違って凹凸のジョイント部分の上部も下部も同じ幅なのですが、それを二つのボルトで締めて固定させる仕組みになっています。ボルトで接合されているために、修理の際にはボルトを外せばすぐに調整ができるというところが大きな利点です。
それぞれの利点はありますが、私の考えではやはりダブテイルジョイントが音の伝達率が良いと考えます。しかしながらこのダブテイルジョイントは高い精度で取り付ける熟練した技術が必要となります。ある国産メーカーのダブテイルをいくつもリセットした経験があるリペアマンによると、安いクラスのダブテイルはネックとボディがほぼ1点か2点でしか接触していないという話も聞きます。最初からテンプレートで削って合わせるので,全面接触のピッタリにはならないというわけです。つまり生産量が増えれば増えるほど、音質にとって重要なネックジョイントがなおざりにされがちなのではないでしょうか。
ですので、機械や大量生産では生産効率の良いボルトオンが採用されるべきだし、ダブテイルの質の高い音色を求めるのであれば、一つ一つ高い精度で取り付ける熟練した手作業が重要だと考えます。Griffithはダブテイルジョイントを採用しています。

〜ブレイジングについて〜

ブレイジングはXブレイジングといって、表板の裏にX字型に力木を組んだ構造が現在主流となっています。
Xの交差部がサウンドホールに近いほど表板の振動が大きくなり響く傾向がありますが、ブリッジから交差部が遠くなる分、弦の張力によって表板の浮きなどの現象が生じやすくなります。これらのX構造と交差部の位置関係と弦の張力とのバランスは、各メーカーの企業秘密というか技術の見せどころといえます。
Griffithでは長年のギター製作から培ってきたXブレージング構造に加えて、バック側のブレージングにもX構造の力木を採用することで、ボディ全体の響き(振動)を最大限引き出しています。

そういうわけで、ギターを永く続けようと思っている方は、ぜひ手工ギター購入を検討してください。手工ギターは、入門ギター量産ギターと明らかに、音・品質の差があります。

〜ブランド名による値段の違い〜

冒頭でも書きましたが、アコースティックギターの王道といえばMartinのD-28。新品で約30万円、ビンテージになると約80万円です。
もう一つの王道はGIBSONのJ-45。新品で約24万円、ビンテージになるとやはり100万円近くになる個体もあります。
アコースティックギターの2大ブランドは、この2社という事になります。
現在ではアコギのブランドは数多くありますが、そのほとんどが欧米系です。国内では、YAMAHA,YAIRI,MORIS等がありますね。
ブランド物のバックと同じ理由で、有名ブランドは高くなります。ブランド価値としての金額の割合が、個々の製品単価の何%なのかは不明です。
しかし、老舗メーカーのブランドは信頼の証ですので、高額ですが良いものが多いです。経済的に余裕があれば、有名ブランドの高額なギターを買ってよいと考えますが、高級な品番のものでも個体差がありますので、お店で試奏して購入することをお勧めします。いいものを知ることは大切です。これは日本人のブランド志向の弊害ですが、何がいいのか分からず、みんなが持っているから欲しいというだけでギターを買うと後悔します。できればたくさんのギターに触れてください。ブランドや金額に惑わされない本来の価値がわかるようになれば、自分にとって本当に良いものが見つかります。

世界基準で見るとギターの外観品質については日本人が一番神経質です。
本来の価値という視点から見れば、ピカピカのギターでも鳴らなければ本末転倒です。外観品質をなるべく保ちながら、本来のギターの音色をGriffithは第一に追及しています。ギターは演奏されてこそ、その本来の価値が発揮できるものだと考えます。演奏者と楽器が音楽の極みに達してその役目を終えたときに飾ることにしましょう。

良いギターを安くできないか?

安いギターと高いギターの違いをまとめると・・・ 


すごく安いギターすごく高いギター
使用材が全部合板使用材が全部単板
無名メーカーのパーツ海外メーカーの高級パーツ
塗装がぶ厚い塗装が極薄
装飾が簡素装飾が豪華
大量生産されたもの手工品(ハンドメイド)
無名ブランド一流ブランド


以上を踏まえ、ギターを買うときに、本当に大事なことは!

  • オール単板
  • 精度の良い国産ペグ
  • いい塩梅の塗装
  • 装飾はほどほど
  • ハンドメイドで、一つ一つの木の特性に合った製作ができていること
  • 良いものをお届けしたいというお店への信頼感

Griffith Guitarsでは、これらをクリアーすることで、“良い音” だけど“価格をおさえた”ギターを日本で販売することを実現しています。

Griffith Guitarsのアコースティックギターは・・・

  • 人件費の安いベトナムでハンドメイドの生産をしています。
  • 装飾はできる限り簡素に、でもかっこよく!
  • ほとんど無名ブランドだけど、弾きやすい調整など品質を確保

だから “良い音” だけど “リーズナブル” なのです。